婦人科の病気におけるルテインの研究
*眼や肌に加え、乳房や子宮頚部もルテイン(Lutein)が蓄積している体組織です。乳癌を患っている/いない女性について行われた研究によれば、ルテイン(Lutein)や他のカロテノイドが乳癌の発症リスクに対して防御的な作用をもたらすのではないかという結果が示唆されています。(文献1、2、3、4)
*他の研究では、ルテイン(Lutein)、ゼアキサンチン、リコピン、βカロテン、αカロテンなどのカロテノイドが豊富に含まれた食品は乳癌の予後を改善するのではないかという結果も発表されています。(文献5)
*ルテイン(Lutein)及びゼアキサンチンは癌細胞に対して抗増殖物質として働く、つまり癌性の状態によって引き起こされる細胞の急激な増殖を抑制する可能性があるのではないかという事も示唆されています。(文献6)
研究者は、ルテイン(Lutein)とゼアキサンチンが母乳およびへその緒の血漿における存在も確認しており、これらのカロテノイドが母親から新生児に運搬されている可能性を示唆しています。(文献7)
ルテインと新生児の栄養


- 母乳と臍帯血漿中にルテイン(Lutein)とゼアキサンチンが存在する事実は、これらのカロテノイドが母親から胎児・乳児へ運搬されていることを示唆しています。
- 妊産婦の血漿中のルテイン(Lutein)とゼアキサンチンの状態が胎児におけるルテイン(Lutein)とゼアキサンチンの濃度に影響するため、母親の食事の摂取内容が新生児におけるルテイン(Lutein)とゼアキサンチンの総濃度を左右することが示唆されています。
- 調製粉乳で育てられた乳児と母乳で育てられた乳児とでは血漿中に含まれるカロテノイドの種類と含量(プロファイル)が異なります。そのため、カロテノイドを強化した調製粉乳で育てられた乳児は、製品から健康上の利点を得ることができます。


ルテインと乳癌
ルテイン(Lutein)とα-カロテンのバイオアベイラビリティーは、生・調理野菜よりも野菜ジュース由来の方が高いことが明らかにされています。


- ルテイン(Lutein)や他のカロテノイドは、乳癌発症のリスクに対して防御作用を持つようです。
- カロテノイドが豊富な食品の摂取は、乳癌の予後を改善する可能性があります。
- ルテイン(Lutein)/ゼアキサンチンは、癌細胞の抗増殖剤として作用する可能性があります。


全トランス型レチノイン酸とルテイン(Lutein)
University of Michiganのグループは、ヒト乳腺上皮細胞の正常株、SV-40形質転換株、MCF-7腫瘍株において、全トランス型レチノイン酸とルテイン(Lutein)がアポトーシスに与える影響を試験管内で研究しました。その結果、ルテイン(Lutein)およびレチノイン酸は正常細胞をそのままに、MCF-7腫瘍細胞を減らすことがわかりました。また、ルテイン(Lutein)は形質転換細胞および腫瘍細胞の治療薬への反応を高める作用があることもわかり、ルテイン(Lutein)が乳腺上皮腫瘍細胞に対して抗腫瘍作用を持つ可能性が示されています。


文献
- Hulten K, Van Kappel AL, Winkvist A, Kaaks R, Hallmans G, Lenner P, and Riboli E. Carotenoids, alpha-tocopherols, and retinol in plasma and breast cancer risk in northern Sweden. Cancer Causes Control 12: 529-537., 2001.
- Toniolo P, Van Kappel AL, Akhmedkhanov A, Ferrari P, Kato I, Shore RE, and Riboli E. Serum carotenoids and breast cancer. Am J Epidemiol 153: 1142-1147., 2001.
- Kim MK, Ahn SH, and Lee-Kim YC. Relationship of serum alphatocopherol, carotenoids and retinol with the risk of breast cancer. Nutrition Research 21: 797-809, 2001.
- Zhang S, Hunter DJ, Forman MR, Rosner BA, Speizer FE, Colditz GA, Manson JE, Hankinson SE, and Willett WC. Dietary carotenoids and vitamins A, C, and E and risk of breast cancer. J Natl Cancer Inst 91: 547-556., 1999.
- Rock CL, Saxe GA, Ruffin MTt, August DA, and Schottenfeld D. Carotenoids, vitamin A, and estrogen receptor status in breast cancer. Nutr Cancer 25: 281-296, 1996.
- Milo K, Singeltary J, Bomser J, and Smith MAL. Lutein and zeaxanthin inhibit human breast cancer cell proliferation (abstract). FASEB 12: A830, 1998.
- Yeum, K. J., G. Ferland, et al. (1998). "Relationship of plasma carotenoids, retinol and tocopherols in mothers and newborn infants." J Am Coll Nutr 17(5): 442-7.

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